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DeNAが提供する通信教育アプリ「アプリゼミ」について補足

今月26日に、DeNAが小学校1年生向けの通信教育タブレットアプリを

提供開始したことをお伝えしました。

お伝えした内容は、おもにニュースサイトで報じられている事柄を

要約して書かせていただきましたが、

本日はアプリを提供しているDeNA自身のサイトでのこのアプリの紹介ページ(http://dena.com/press/2014/03/dena-applizemi0320.php)

を中心にレポートしたいと思います。


まず、今回の小学生1年生向けのアプリ提供開始の前に、

DeNAは昨年2013年12月から「アプリゼミ「入学準備号」の提供を開始、

未就学児向けに小学校入学に備えた学習メニューを配信」していたとのことです。

いきなり4月から開始したのではなくて、きちんと前段階・準備段階を用意していたのですね。


そして、アプリ配信の背景として、

「文部科学省が推進するICT教育の環境整備により、

2020年までには小中学校の生徒1人に1台のタブレットが行き渡る」

ことを挙げています。

これから家庭で個人購入されたタブレットだけでなく、

自治体の予算措置に基づいた教育現場でのタブレットの普及が予想されるために

それへ向けて早期からタブレット対応を始めたものと思われます。


しかし、「タブレット対応」と言っても、DeNAは教育産業の会社ではありません。

インターネットを中心とするIT企業の代表格。

しかし、その教育の世界から見れば完全に「門外漢」である企業であっても、

最近のように異業種企業間のコラボレーションがさかんに行われる時代にあっては、

新たな分野へあまり長い準備期間をかけることなく参入することが可能です。

実際、今回のDeNAが配信している教育アプリの内容を企画・監修しているのは

小学校教材・英語教材制作のプロ中のプロ、NHKエデュケーショナルが行っているのです。


タブレットや配信アプリなどのような新しい技術が世の中に広がった時、

教育産業に元々いた企業がITのノウハウを持った企業と組んで

教育アプリを開発した方がいいのか? 

あるいは、IT企業が教育や教材制作のノウハウを持った企業と組んで

参入した方がいいのか? 

一概に正解を出すことはできませんが、

少なくとも今回のDeNAの発表内容を見る限り、

この会社はこの事業においてかなり大きな成功を収めるであろうことが予想できます。


理由としてあげられるポイントが3つあります。


まず第一に、

前回も述べたとおり、「ハードに汎用機を使用」していること。

教育関連企業トップのベネッセが作ったタブレット教材は、「専用機」。

受講料に専用機のハード料金を含めて、強制的(?)に

自社の専用タブレットをユーザーは購入することとなります。

インターネット企業のDeNAは、ネット社会ではオープンな環境が受け入れられ、

供給側が顧客を安易に囲い込もうとすると成功しないことを熟知しています。

個人的に、私はDeNAのやり方が最終的に支持を得ることになるのではないか、

と想像しています。


第二に、DeNAがオンラインゲームの覇者であるという点です。

モバゲーの成功によってDeNAはソーシャルゲームの世界で莫大なユーザーを獲得し、

大きな売り上げ(利益)を得ています。

すなわち、「どのようなコンテンツを人は楽しいと感じるのか?」ということを

熟知しているのです。

このノウハウを教育の世界に持ち込むことによって、

そのアプリを使用するユーザー(児童)は、楽しみながら学ぶことができます。

これを端的に表しているのが、DeNAのサイト上で使われている

「エデュテインメント」という言葉です。

つまり、DeNAは教育とエンターテインメントの融合を目指しています。

「楽しい」ことに関しては教育産業の覇者がどんなにガンバってみても、

おそくらくDeNAには歯が立たないことでしょう。


最後に、「圧倒的な資金力」です。

DeNAは、インターネット企業の典型として、

極めて利益率の高い収益構造をもっており、

ソーシャルゲームを中心とするユーザーからの幅広い支持に支えられて

驚異的な売り上げと利益の伸びを見せています。

ちなみに、昨年2013年度の売り上げは2,000億円を超え、

純利益は450億円にも上っています。

このような資金力によって、プロ野球の横浜ベイスターズの獲得も可能となりましたし、

今回の教育アプリのリリースについても、

まず、小学校入学前の児童を対象に「入学準備号」を提供し、

かつ、1年生向けのアプリ本体を配信開始しても、

「最初の3カ月は無料」などという

いままでの教育界では考えられなかったような思い切った手法を

とることができるのです。


今回のDeNAの教育産業参入は、

小学校英語・子ども英語の世界にとどまらず

これから常に注目しなければならなくなりそうです。


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DeNA 通信教育アプリ「アプリゼミ」の提供を開始
http://dena.com/press/2014/03/dena-applizemi0320.php

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2014年3月31日 カテゴリ:小学校英語活動 

富山県で、英語の非常勤講師を小学校4校へ配置

朝日新聞のニュースサイトが、富山県での教員に関する人事異動の内容を報じています。


そのなかで、「県教委によると、小学校5、6年の外国語活動の充実や

英語教科化への対応を図るため、小学校4校に英語の非常勤講師を

各1人配置する」と伝えられています。


小学校英語(外国語活動)が、これから文部科学省の方針によって

低年齢化と正式教科化を目指してゆくことが検討されていますが、

その際に最大の問題となるのが、教員の問題です。

現在の担任教師とALTによる指導がこれからも続けていくことがはたして出来るのか?

現場教師へのアンケートなどからわかってくることは、

「今まではなんとかやってきたが、やってみてなおさら専門指導教員の必要性を痛感した。

これからも担任教師は英語教育に積極的にかかわっていくが、

それとは別に英語専門教師の必要性も高まってくる」

という意見がとても多く聞かれることです。


このような現場の声に呼応するように、早くも富山では(数は少ないながらも)

英語教師が小学校へ配置される、ということなのです。

このような動きは全国に広がりを見せることは確実でしょう。

どんどん英語教育の専門家が小学校に増えていってほしいものです。


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富山)小学校4校に英語講師 県教委人事
http://www.asahi.com/articles/ASG3W42PNG3WPUZB007.html
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2014年3月29日 カテゴリ:小学校英語活動 

苫小牧市教育員会が春休みの小学校卒業生に英語指導

小学校英語(外国語活動)に関するさまざまなニュースが

頻繁にインターネット上で報じられていますが、

今日は、北海道新聞のニュースサイトに掲載された

苫小牧市教育委員会の楽しい企画についてご紹介したいと思います。


苫小牧市内の小学校を卒業して中学への入学を控えた児童たちを集めて

教育委員会がALTによる英語指導教室を開催しているとのことです。

これは、「チャレンジ・イングリッシュ」と命名され、

61人の参加者に対してALTが4人も担当するということですから

とても贅沢な人数構成と言えます。(ALT一人当たり生徒15人です!)


生徒たちは、四つのグループに分かれ、

それぞれのグループで一人のALTが指導に当たることになります。

「中学で学ぶ文法などには踏み込まず、アルファベットの書き方や発音、

簡単な会話などが中心」とのことですから、

春休みの活動としては適切なのではないでしょうか。

せっかく小学校の高学年2年間の外国語活動で英語に親しんだのですから、

ここで中学入学を目前に控えて「勉強」としての英語を詰め込む必要はないでしょう。

それよりも地方都市の土地柄、ネイティブスピーカーと触れあう機会もさほど多くはない

のかもしれませんから、きちんとした発音を聞いて耳を慣らすことや

自分の英語がきちんと伝わるかどうかを

楽しみながら試したりする体験を積む方が大切です。


全国で様々な自治体が文部科学省の大筋の方針とは別に

小学校英語に関する取り組みを行っていますが、

この苫小牧市教育委員会の取り組みのようにたとえ短期間であっても、

子どもたちのために英語に接する機会を作っていくことは

それが積み重ねられていったときに大きな成果・結果につながっていくものと考えます。


最後に、記事の後半部分には苫小牧市でのALT活用状況に触れられており、

「苫小牧市教委は希望する小学校にALTの派遣を実施している。

本年度は市内24小学校のうち21校に派遣した」と記されています。

せっかく希望する学校には派遣すると教育委員会が言っているにもかかわらず、

希望しない学校が少ないながらも3校存在しているということが

信じられない気持がいたします。

どのような理由から「希望しない」のでしょうか?


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北海道新聞
http://www.hokkaido-np.co.jp/news/chiiki/529867.html
中学進学前、英語にチャレンジ ALT指導の学習会、苫小牧市教委が初企画
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2014年3月29日 カテゴリ:小学校英語活動 

小学校英語先進校 小山台小学校の英語教育【その2】

ライブドアニュースに東京都品川区立小山台小学校における小学校英語教育について

より詳細なレポートが二回にわたって掲載されていますのでご紹介します。


前回は、青山学院大学教授のアレン玉井光江先生の指導方針にもとづいて

英語教育が行われていることに触れました。

アレン先生の「意味ある文脈のなかでことばを育てる」という指導法は、

より具体的には「Joint Storytelling(ジョイント・ストーリーテリング)」と呼ばれており、

これは、物語などの意味のある文脈の中で自然と児童たちが英語を習得していくことを

めざしています。

記事の中では昔話の「ももたろう」のストーリーを

授業で取り上げている姿が紹介されています。

おじいさんとおばあさんのやりとりは子どもたちにとってはすでにおなじみの内容ですが、

それをこんどは英語で聞き、日本語ではない言語で同じ内容を反芻することは

とても新鮮な体験なのでしょう。

写真では興味深くアレン先生の授業に聞き入っている

子どもたちの写真が掲載されています。


また、現在全国的に行われている文科省作成の"Hi, friends!"を使用した外国語活動では、

基本的には文字は扱わないことを謳っていますが、

アレン先生の指導の中では

「英語のリタラシー(読み書き)の能力を育てること」が重視され、

なんと1年生からアルファベットを学習する、とのことです。

英語の音を文字との関連で低学年から積極的に教えていくことは、

中学校との英語教育の連携を考えるときに、たいへん有意義なポイントとなることでしょう。


このようなアレン先生の意欲的な指導によって、

小山台小学校では生徒たちが「スラスラ言えるようになりたい」という意欲を持ち、

物語を自分たちだけでも語れるようになってきたということです。

このような成果は、齋藤校長や全ての担任教師、

そしてボランティアとして参加した地域の方々の支えがあってこそ実現できたことです。

やはりたった一人のスーパースターだけでは、教育は成り立ちません。

かかわるすべての人々の理解と協力が

成果を上げていくには不可欠であることをあらためて感じる次第です。

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小学校英語の最前線 第2回【前編】
ストーリーをとおして、英語力を育む授業(東京都品川区立小山台小学校)
http://news.livedoor.com/article/detail/8638677/

小学校英語の最前線 第2回【後編】
物語を聴いて語って、英語力を育む授業(東京都品川区立小山台小学校)
http://news.livedoor.com/article/detail/8666755/
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2014年3月28日 カテゴリ:小学校英語活動 

小学校英語先進校 小山台小学校の英語教育【その1】

ベネッセ教育情報サイトのヘッドラインに

東京都品川区立小山台小学校の校長先生に関する記事が

掲載されていましたのでご紹介したいと思います。


品川区では、いまからなんと11年も前の2003年に

小中一貫教育で国の構造改革特区の認定を受けており、

その流れの中で2009年(文部科学省による小学校英語教育(外国語活動)が

全国の公立小学校に義務付けられた二年前)から

小学校全学年、つまり1年生から英語教育を年間35時間行っています。

ほかにも全国には文科省の方針を先取りして

低学年から英語を教え始めたりする自治体も数多く存在してはいますが、

低学年になればなるほど時間数は少なくなるケースが多く、

「全学年」で年間35時間(すなわち、毎週1回)という授業数は

かなり珍しいことと言えます。

しかも、この教育が始められてからすでに5年の実績を積んでいるわけですから、

先進性とともに経験の蓄積も分厚くなっていることと考えられます。


このように一歩も二歩も先を行く品川区での英語教育ですが、

なかでも小山台小学校は熱心に英語に取り組んでいることでつとに有名で、

校長の齋藤早苗先生の「楽しいだけの授業では意味がない」との考えのもと、

全校挙げて意欲的に英語教育に取り組んでいます。


齋藤校長の教育方針には他にも、

「学級担任が主体となった英語の授業」を推進するというものがあり、

数々の模索を経て青山学院大学教授のアレン玉井光江先生と出会うこととなります。

アレン先生は、「意味ある文脈のなかでことばを育てる」という指導法を掲げており、

齋藤校長がこの方針に共感したことがきっかけで

アレン先生自身が小山台小学校の授業に直接かかわることとなります。


担任教師との共同作業で指導は進み、

開始当初は生徒たちもいま一つの印象を見せていたようですが、

二学期ころから児童の表情も変わり、今では担任教員・ボランティアの保護者とともに

小中連携を強く意識した英語教育が全学年で行われているとのことです。


アレン先生、そして齋藤校長、二人の女性教師によって

品川区での先進的な小学校英語教育は進められています。

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小学校英語先進校 小山台小学校長が語る、小学校英語のあるべき姿とは?
http://benesse.jp/news/kosodate/join/20140327080002.html

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2014年3月28日 カテゴリ:小学校英語活動 

あの"モバゲー"のDeNAが、通信教育アプリ「アプリゼミ」の「小学1年生講座」提供開始

アメーバニュースやその他のネット系ニュースサイトが、

DeNAの新しいタブレット用教育アプリについて報じています。

(下記サイト参照)


DeNAといえば、モバゲーなどのソーシャルゲームを提供する会社として、

あるいは、一昨年からプロ野球横浜ベイスターズのオーナー企業として有名ですが、

このたび、NHKエデュケーショナルの企画・監修のもと、

小学1年生講座をアプリとして提供する事業を開始します。

科目としては、「算数」「国語」、ならびに、「英語」の3教科で、

英語に関してはオリジナル教材を用いるとのことです。


今までゲーム業界の企業であったDeNAが、

教育分野へ進出すること自体がとても興味深いことなのですが、

その手法とスタートのインパクトが教育の世界にもたらす影響は実に大きく、

教育とは関連のない「外部」の会社であるからこそ打ち出した

斬新なアイデアにあふれています。


たとえば、まず、「無料化」の導入です。インターネットの世界では、

新しいサービスを提供する際には「お試し期間」として、

あるいは、まずユーザーを増やすことを第一の目標とすることから、

期間限定で無料使用を許諾する手法が多く取られます。

これは、なかなか教育の世界ではなじみのないことかもしれませんが、

なんと驚くことに、DeNAはこの教育アプリを

「最初の3カ月(4月~6月)」完全無料で提供するというのです。

そして、7月以降は有料となり課金されますが、

それでも月額980円~1,000円という格安といってもいい価格設定です。

しかも、この価格は1科目あたりではなく、

「3科目セット」だというのですからさらに驚いてしまいます。


また、もうひとつ特徴的なのが、

ハードを選ばずに汎用機を使うことを前提にしていることです。

現在、タブレット用のOS(基本ソフト)は、

Apple社のiPad用のiOSと、Googleが無料適用しているAndroidの二つがありますが、

その二つそれぞれに対応したアプリが用意されています。

これによって、保護者は新たに子どもの教育専用にタブレットを購入する必要がなく、

もともとタブレットを持っていればそのまま子どもの教育用にも使用することができ、

初期費用が全くかからないことになります。


上記二つの特徴は、他社が相次いで発表した

タブレットを使用したこども講座の内容と比較すれば良く理解できます。

教育の世界で代表的なベネッセが運営するタブレット講座:チャレンジタッチ

の受講費を見てみると、1年間一括払いで31,560円、

毎月払いでは月々3,250円の支払い(年額では39,000円)となります。

そして、この費用にはハードであるタブレットの代金も含まれていますが、

6か月未満で、退会あるいは講座変更する場合は、

タブレット代金として14,364円を支払わなくてはなりません。

使用するタブレットは「専用機」であるために

親が他の用途で使用するなどには適さないでしょうし、

受講費用はDeNAの講座よりも(タブレット代金を差し引いても)とても割高です。

もちろん、無料試用期間などはあるはずもありません。


ハードに専用機を使用する、ということは

講座を提供する企業側からすれば、「顧客の囲い込み」につながりますから

都合がいいのですが、これは言ってみれば、

「供給者側の論理」であって、

現在のインターネット上で広がっている無料化・低価格化の流れとは異質のものです。

この意味で、今回のDeNAの教育アプリサービスの提供開始は、

インターネット企業の雄がいまだに古い体質を持ち続けている教育の世界に

一石を投ずることになる、と言えるのではないでしょうか。


小学校教育において、ICT(情報通信技術)化が叫ばれてからかなりの年月が経ちます。

小学校の教室においては、専用の大型ボードの普及はまだまだ完全とはいえませんが、

タブレットを導入することによって大きな広がりが期待されますし、

家庭における学習にも適しています。

教材を制作するのは、長年教育に携わっていた教材メーカー、

というのが今までの固定的な考えですが、

今回のDeNAのサービス開始によって、

インターネット企業が教育の世界に大きな変革をもたらす可能性が見えてきました。


21世紀の教育と教材はどうなっていくのか?

小学校英語に限定せず、これからも注意深く見守っていく必要がありそうです。


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アメーバニュース
DeNA、通信教育アプリ「アプリゼミ」の「小学1年生講座」提供開始
http://news.ameba.jp/20140325-631/

テック・クランチ
DeNAの低学年向け教育事業「アプリゼミ」 タブレット向けにサービス開始
http://jp.techcrunch.com/2014/03/24/jp20140324-dena-education-app/

DeNA 通信教育アプリ「アプリゼミ」の提供を開始
http://dena.com/press/2014/03/dena-applizemi0320.php

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2014年3月27日 カテゴリ:小学校英語活動 

山梨市の全小学校が、来年度から小学校英語を「教科」に!

山梨市のWebサイトに、

「今年4月からは市内の公立小学校11校全ての学校で英語を「教科」として取り組む」

ことが発表されています。

文部科学省は、2020年の東京オリンピック・パラリンピックをめざして、

小学校英語を含む英語教育全体の改革を進めようとしています。

それは、小学校においては、開始年齢の低学年化と、

高学年における正式教科化の二つが柱となります。

また、全国では文科省の英語教育改革を先取りする形で、

もっと早い時期から英語教育の低年齢化や教科化を

進めている自治体も数多く見受けられます。


山梨市のこのたびの発表はこの流れに沿うもので、

発表内容を読むと、昨年の夏に山梨市教育委員会から文部科学省に対して、

「教育課程特例校」の指定を申請していたことが分かります。

これによって、市内の11校の小学校全てにおいて

2014年度から英語が正式な教科となるわけです。教科となると、まず一番大きな違いは、「成績がつく」こととなります。また、現在全国で使用されている"Hi, friends!" とは別の教科書を使用しなければならなくなります。

国(文科省)が小学校英語の正式教科化の実現で目指しているのは、

2018年度から新しい学習指導要領に基づいた教育を段階的に開始し、

2020年度から本格実施を目指しています。

これに比べれば、各自治体で進んでいるオリジナルな取り組みは

より早期の実現を果たしており、山梨市の例はそのひとつとなります。

このような流れ・動きはこれからも全国へとおおきく広がっていくことでしょう。

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山梨市からのお知らせ
http://www.city.yamanashi.yamanashi.jp/news/yamanashishi-gakko-eigo.html

 平成25年8月に山梨市教育委員会から申請いたしました山梨市小学校英語科教育の「教育課程特例校」の指定書及び変更承認書が、3月3日付けで文部科学大臣から書面により通知されました。
 今年4月からは市内の公立小学校11校全ての学校で英語を「教科」として取り組むこととなります。平成15年度に山梨市立岩手小学校から始まった「英語活動」は、地道な取り組みを重ね、「英語科として市内の小学校11校全てが取り組む」という新たな段階に入ります。
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2014年3月25日 カテゴリ:小学校英語活動 

関西外大の小学校英語教員養成専門コース

文部科学省は、現在全国で行われている

小学校5・6年生の英語教育(外国語活動)を、

開始年齢を引き下げ、かつ、高学年においては正式教科とする

(検定教科書を作成し、成績をつける)べく改革に取り掛かっています。

その際に最も大きな問題となり解決にも時間がかかる課題が、

教員の養成です。「誰が」「どのように」英語を教えるのか?という問題は、

外国語活動導入当初から問題とされてきましたが、

今までは学級担任とALTの組み合わせ、

もしくはそれにさらに地域の補助教員が加わることによってなんとかクリアし、

日本における小学校英語教育の実績と経験を積んできました。


しかしながら、これからの「正式教科化」と開始年齢の低年齢化に伴う人員確保を考えると、

現在のままの体制で小学校英語の発展的な進歩を期待することには

無理があります。

そこで、大学での教員養成課程において、

小学校英語教育の専門家の養成が期待されることとなってきました。


関西外国語大学は、古くから外国語教育の専門大学として

関西で実績と歴史を積み重ねてきた有名校ですが、

従前の外国語学部とは別に「英語キャリア学部」を設けて、

その中に英語キャリア学科小学校教員コースを作っています。

これはまさに、小学校における英語教育の専門家を専門的に養成する教育機関で

大きな期待が寄せられています。


この英語キャリア学科小学校教員コースで重要なポイントは、

あくまでも「小学校教員」を養成したうえで、

特に英語の指導に特化した人材を育て上げようとしている点です。

つまり、英語教育だけを目的としているのではなく、

従来通りに主要四科目に体育・芸術系科目も加えた

全領域にわたる指導力を養成することを基礎として、

その上にさらに英語教師としての専門性を上積みしようとしているのです。


大学でのカリキュラムでは、1~3年時に初等教育の理論と実践を

基礎として学ぶのと同時に、

国際的な視野を持った教員となるべく様々な教育関連科目を履修します。

そして、2年時に地元自治体との連携によるインターンシップに参加し、

さらに3年時では基本的に全員が教育実習へと出ていきます。

そして、最終学年でより実践的な指導能力と英語コミュニケーション能力に

磨きをかけて卒業となります。


関西外大では、この小学校教員コースを2013年4月に開設し、

「小学校の先生をめざすなら関西外大」というキャッチフレーズのもと、

生徒募集をし教育を開始しています。そのアピールポイントとして、


・外大では日本初。英語が使える小画工教員を本格養成。

・少人数で理論と実践を学べるカリキュラム。

・グローバルな視点、海外の言語・文化にふれながら学べる環境。

・各教科のプロフェッショナルによる充実した教育。

・小学校の先生をめざすみなさんをきめ細かにサポート。


の5つを挙げています。また、英語が使える小学校教員を養成する拠点として

ICC(インターナショナル・コミュニケーション・センター)を設けて、

施設の充実にも力を入れています。


関西外大のこのような取り組みは、実にタイムリーであり

時代の要請にそのまま答えるものと言えます。

これは、文部科学省からも高く評価され、

「2011年度文部科学省の教職課程認定大学実地視察においても、

視察を受けた45大学のうち、「特色を活かした取り組み」を特筆した

5大学のひとつに取り上げられた」とのことです。


このような専門的な教育人材養成施設・課程が

これからもより一層広がり、かつ充実していくことを心から願っています。


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関西外国語大学 英語キャリア学部・英語キャリア学科 小学校教員コース
https://www.kansaigaidai.ac.jp/contents/academics/career/elementary_main.html
https://www.kansaigaidai.ac.jp/contents/academics/career/elementary_top.html
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2014年3月24日 カテゴリ:小学校英語活動 

第2回 小学校英語に関する基本調査(教員調査)【その3】

ベネッセ教育総合研究所が2010年に行った

「第2回 小学校英語に関する基本調査(教員調査)」のレポート、

第三回目です。

上智大学教授吉田研作先生の解説についての引き続きレポートいたします。


解説の後半部分では、小学校英語(外国語活動)の今後の課題とまとめを

お書きになっていらっしゃいます。

課題としては、

『「外国語(英語)活動に使える予算」「ALTなどの外部協力者との打合せの時間」

「中学校との接続・連携」「教材の開発や準備のための時間」』

という4つが項目として挙げられていますが、

時間に関する二つの項目をまとめれば、

『カネと時間と小中連携』という3つにすることもできるでしょう。

これらのなかで、吉田教授がもっとも重視しているのが小中連携です。


吉田教授の著作や講演内容などでもたびたび紹介されていることですが、

「小学校で学んだことが中学校でどのように活かされるのかということを

しっかり考えないと(今までもみられてきたことではあるが)、

せっかく小学校の英語活動が楽しかったにもかかわらず、

中学校に入ると途端に英語嫌いが増える、という問題」が存在しています。

21世紀に入ってから、文部科学省によって全国的に、

かつ、本格的に計画と実践が行われてきた小学校での英語教育(外国語活動)ですが、

公立小学校においては特別な例をのぞいて

全くと言っていいほど行われてきておらず、

ほぼゼロからのスタートであったために、

小学校のみに焦点が当てられてしまうきらいがあります。

しかし、小学校において「楽しく触れ合い、

成績もつかなかった」英語が、中学に入ると同時に、

「成績を気にしなければならなくなる教科」となるために

児童たちが「幻滅」してしまって短期間のうちに一気に

英語が嫌いになってしまう、という事実がたびたび報告されてきています。


そこで、この2010年の調査においても

小中連携の実態について調査したところ、

「中学校の英語教員と集まる機会がある学校は約3割で、

中学校と連携したカリキュラムを作成している学校は約1割にすぎない」

という実にお寒い状況であり、

「小学校、中学校ともに教員は互いの連携がまだうまくいっていない、

という認識をもっている」ということが浮き彫りになった結果が出てしまっています。

これは、2014年の現在も大筋ではさほどの改善はみられていないというべきで、

古くて新しい大きな課題と言うことができます。


おわりに、吉田教授はまとめとして

学級担任の意識や指導の実態をこの調査から読みとった結果、

「この4年間でかなり「前進した」といえる」と結論付けていらっしゃいます。

また、発音に不慣れな日本人担任教師が英語を教えることに対する不安と批判に対しては、

「実は、日本人である学級担任が英語でコミュニケーションしている姿こそが、

子どもたちにとって自らも英語を学ぶ大きな刺激になっている」と指摘して、

「ネイティブ崇拝論」を退けています。

子どもたちにとっては、ALTの生の発音に触れることは意義があることではあるが、

最終的には日本人みずからがコミュニケーションをする姿にこそ

子どもたちは関心と興味を抱くのだ、という素晴らしい結びでこの解説は終えられています。


熟読すべき素晴らしい内容の解説です。吉田教授に感謝をささげたいと思います。

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ベネッセ教育総合研究所
第2回 小学校英語に関する基本調査(教員調査)
http://berd.benesse.jp/berd/center/open/report/syo_eigo/2010/index.html

解説・提言1 小学校教員の意識の変化
http://berd.benesse.jp/berd/center/open/report/syo_eigo/2010/pdf/data_01.pdf
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2014年3月23日 カテゴリ:小学校英語活動 

第2回 小学校英語に関する基本調査(教員調査)【その2】

ベネッセ教育総合研究所が2010年に行った

「第2回 小学校英語に関する基本調査(教員調査)」のレポート、

第二回目です。


今日は、解説・提言のその1、上智大学教授吉田研作先生の解説です。

吉田教授は、もうここであらためて申し上げるまでもなく、

日本における子ども英語教育に関する第一人者で、

著作や政府関連の委員などで長く幅広く活躍していらっしゃいます。


吉田教授は、現在(調査当時の2010年)どのように

小学校英語(外国語活動)が行われているのかという

実態を表す調査結果数字の解説から説き起こしていらっしゃいます。

このなかで、第一回調査の2006年に比べて

「中心となる指導者も「外国語指導助手(ALT、AETなど)」から

「学級担任」へと移っていることがわかる)。

この4年間で、学級担任がかなり積極的に

英語活動にかかわるようになってきたことがよくわかる」

と指導主体の変化について解説していらっしゃいます。

これは、2011年の全国的な外国語活動導入の義務化を控えた前年に

調査が行われたため、

それ以前の数年間で小学校の教育現場で

着実にそのための準備が行われたことを裏付けています。


しかしながら、そのような積み重ねを踏まえて

教師たちに今後への考えを聞いてみると、

「「今後小学校英語活動は誰が教えるべきか」という質問に対して、

教務主任、学級担任いずれも、およそ4人に1人が

「学級担任」と答え、およそ4人に3人までが「専科教員」

と答えている」と指摘しています。

つまり、学級担任たちは、国の方針に従って英語の指導を学び、実践してきて

それなりの結果は残したが、

やってみたからこそ、その専門性を、逆に際立って感じることにもなり、

今後は専門家が受け持つべきであると考えるに至った、

ということができるかもしれません。

学級担任がなんらかの形で英語教育にかかわり続けることは、

小学生と言う年齢から考えても今後も変わらないことでしょうが、

指導の中心となった役割を全ての担任教師たちが負えるかどうか、

となると少々厳しいということでしょうか。


また、全国で活躍しているALTの役割と今後については、

「発音について見本を示す」などの役割を果たしていることを評価していますが、

労働者派遣法との兼ね合いで、

「ALTの派遣業者に業務委託している場合」の問題点についても触れています。

これについては、吉田教授は詳細について述べていらっしゃいませんが、

おおよそ以下のような内容です。


ALTの派遣業者に業務委託している場合には、

学校に来て生徒たちに英語を教えるALTは

派遣業者に雇用された人間として、派遣業者の指示のもとで授業を行います。

この際、学校の担任教師が授業内容についてALTに対して指示すると、

派遣法に抵触してしまい法律違反となってしまいます。

つまり、この場合は、派遣業者がALTに指示した内容で授業が行われるのを

担任教師は「見ているだけ」でなければならないのです。

吉田教授が、

「(このような場合は)学級担任とのティーム・ティーチングはできないので、

外国語指導助手の活用方法が難しくなるだろう」

と述べていらっしゃるのはこのためです。

ティーム・ティーチングを担任教師とALTが行おうとすれば、

事前に打ち合わせを行い、担任教師の指導・指示のもとで

ALTは働かなければならなくなります。

これをやってしまうと、法律違反となってしまうのです。


この問題を回避するには、各自治体(教育委員会)が、

直接ALTを「雇用」しなければならず、派遣会社まかせに出来なくなります。

派遣であれば、短期間などの依頼も可能となりますが、

雇用となれば長期間の安定的な関係が必要となり、

当然のことながら雇用費用は派遣依頼に比べて大きな金額となります。

それを自治体が負担できる場合と負担できない場合が

全国的にみると様々に出てくることになるのです。

(つづく)


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ベネッセ教育総合研究所
第2回 小学校英語に関する基本調査(教員調査)
http://berd.benesse.jp/berd/center/open/report/syo_eigo/2010/index.html

解説・提言1 小学校教員の意識の変化
http://berd.benesse.jp/berd/center/open/report/syo_eigo/2010/pdf/data_01.pdf
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2014年3月23日 カテゴリ:小学校英語活動 

第2回 小学校英語に関する基本調査(教員調査)【その1】

少々旧聞に属する内容ですが、

小学校英語に関して、とても充実してかつ示唆に富んだ調査結果が

Web上に公開されているのでご紹介したいと思います。


ベネッセ教育総合研究所が2010年に行った

「第2回 小学校英語に関する基本調査(教員調査)」の結果レポートです。

この調査は、第1回が2006年に行われ、教員調査と保護者調査とに分かれていたのですが、

今回は、文部科学省による全国の小学校英語教育(外国語活動)義務化(2011年)

の前年に行われた調査です。


本調査は、全国から無作為に抽出された8,000校にアンケートを送付し、

その中から約30%弱の解答を得て結果をまとめたもので、

・背景など
・解説と提言 4人
・調査結果
・分析
・資料
・付録

に分かれています。


本日は、この中から解説・提言の四人目、

実際に小学校で英語を教えている現場教師の

金子真理子先生による提言をご紹介しましょう。


金子先生はまず、外国語活動がほとんどの場合、

学級担任とALTとのティーム・ティーチングによって行われている、

という調査結果を紹介しています。

学校における外国語活動の指導者を訪ねる設問に対して、

90%以上の解答が学級担任とALTと答えているのです。

(解答は複数回答)

ALTは、「「発音について見本を示す」「児童と外国語を使って会話をする」

「自然な外国語の使い方の見本を示す」など、英語活動に不可欠な存在」

になっていることは事実ですが、といって学級担任の役割も大変大きく、

「初めて外国語を学習する子どもたちの不安を解消する心強い存在」

であると指摘します。

これは、小学生と言う年齢を考えれば当然と言えることで、

たとえ高学年とはいえども、子どもたちにとって「担任の先生」は、

昼間の時間帯の親代わりのような存在です。

担任教師は、クラスの児童一人一人の学力と性格を十分に把握して

日々の指導に当たっていますから、

この役割と実績を他の外部の人間がとってかわることは不可能でしょう。


しかし、自治体によっても異なりますが、

外国語活動全ての時間においてALTとのティーム・ティーチングを行うことが

できるわけではありません。

自治体の予算の関係で限られた時間しかALTが来校しないことも多いのです。

その際に担任教諭にとって「心強い味方」となっていたのが、

文部科学省が作成して全国の小学校に無料配布した「英語ノート1・2」です。

(2013年現在は、英語ノートを基礎にさらに発展させた"Hi, friends!1・2!"を使用)

英語ノートは、日本で初めて全国の小学校での英語教育が義務化される際に、

文科省が「指導指針」として作成した教材で、

我が国における小学校英語教育の初期段階に使用される教材としては

適切な内容と役割を持っていたと考えることができます。

金子先生もそのような英語ノートの実績を冷静に評価したうえで、

「学級担任は、「英語ノート」を教えるのではなく、

「英語ノート」で教えるという気持ちを持って、

授業展開を考えていかなければなりません」と述べています。


次に、教える側(教員)ではなく教わる側である子どもたちの変化についてです。

外国語活動によって子どもたちに良い変化はありましたか? 

という質問に対して、好意的な回答が前回調査よりも今回の方が増えていることを

金子先生は評価しています。

そして、その一方で英語塾や英会話スクールなどに通っている子どもたちと

そうでない生徒たちとの格差が生まれてきていることも指摘し、

これからは児童の実態に応じた工夫が必要となってくるであろう、と提言しています。


最後に、調査において、

「約70%の学級担任が「外国語(英語)活動は専門に指導する教員(専科教員)が

教えるのがよい」という考えを持っている」という結果を紹介していますが、

同時に担任だからこそ出来ることもあるということを強く訴えています。

英語教育(外国語活動)が、コミュニケーションの手段を教える科目である以上、

教える側の専門性はある程度求められるでしょうが、

既に述べた担任と学級生徒との深いつながりを考えれば

担任教諭の担うべき役割がなくなることはない、と言えるのではないでしょうか。


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ベネッセ教育総合研究所
第2回 小学校英語に関する基本調査(教員調査)
http://berd.benesse.jp/berd/center/open/report/syo_eigo/2010/index.html

解説・提言3 「外国語活動」の導入を通して見えてくる学校現場―「自信がなくても授業を遂行できるしくみ」とは何か?
http://berd.benesse.jp/berd/center/open/report/syo_eigo/2010/pdf/data_04.pdf
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2014年3月22日 カテゴリ:小学校英語活動 

岩手県金ヶ崎町でも小1から英語の授業

文部科学省が進めている小学校英語(外国語活動)の開始年齢引き下げの方針

を先取りして、全国でたくさんの自治体が

5年生よりも早くから英語教育を始めています。

その多くの例をご紹介してきていますが、

今回は初めて岩手県の事例のご紹介です。


読売新聞のニュースサイトで、岩手県金ヶ崎町が2014年度から

町立の全5校の小学校で1年生から英語教育を開始することを伝えています。

記事を読むと、金ヶ崎町では来年度から

文部科学省の「教育課程特例校に指定され学習指導要領以外の授業が行えるようになる」

のを踏まえて、今年度からすでに5・6年生以外の学年でも

英語を開始していたとのことです。


2013年度: 
・低学年は年10時間
・中学年は年15時間

2014年度:
・低学年は年20時間
・中学年は年35時間


来年度からの中学年における年間35時間というのは、

現在全国で行われている5・6年生の外国語活動の時間数と同じですから、

とても力を入れていることが分かります。


金ヶ崎町の5つの小学校は生徒数が全部で580人とのことですが、

6学年x5校で600人弱ですから単純計算では1クラス平均20人くらいということになります。

この規模の町にアメリカ人のALTが3人いて「全授業」に参加する

というのですから、小人数でかなりぜいたくな教育内容となるのではないでしょうか。

都会ではあまり考えられないかもしれません。


低・中学年では教科書は使用しないということです。

ネイティブの教師が読み聞かせなどをおこない、

それ以外にもDVDを活用するということですから、

まずは英語に親しんで楽しく触れ合うことが実現できることでしょう。

低学年でも2週にに一回、中学年では毎週一回

外国人が学校に来て生の英語の発音に触れることができる、

いうのは児童たちにとって楽しみな時間となるのではないでしょうか。


金ヶ崎町でこのような先進的な取り組みが行われることになった経緯には、

「隣接する奥州市などで素粒子物理学の実験施設「国際リニアコライダー(ILC)」の

建設構想」があって、今後地域全体の人々に国際化の波が来る

ことが確実になっていることがあるようです。

このような施設が地方都市に建設されると、

今までの地域の雰囲気そのものががらりと変わることがあるのでしょう。

国際的な実験施設ということであればそれはなおさらです。


東京で2020年に行われることがすでに決定している

オリンピック・パラリンピックでも同様の効果・波及が期待されています。

金ヶ崎町は、岩手県内で初めて、町内の全小学校で全生徒を対象に

英語教育を始めるということですが、

この流れを見習って大都会東京でも出来る限り英語教育低年齢化の流れを

早める努力を期待したいところです。


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小1から英語の授業がある町...米人助手も参加
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20140321-OYT1T00389.htm
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2014年3月22日 カテゴリ:小学校英語活動 

立命館小学校での英語教育

いままでに様々な小学校英語(外国語活動)に関する

全国での取り組みや新しい試みをご紹介してまいりました。

文部科学省の今後数年間の小学校英語教育の改革方針や

地方自治体レベルでのオリジナルな企画などを取り上げましたが、

その全ては公立小学校での活動や計画についてでした。

しかし、数は少ないものの全国には私立小学校があり、

現在のように小学校における英語教育にこれだけの注目が集まるはるか前から

英語教育を独自に実践してきています。

関東でいえば、雙葉小学校や東京都市大学付属小学校(旧校名:東横学園小学校)

などが有名ですが、

関西では立命館小学校が有名のようです。

本日は、立命館小学校にスポットを当てて、

YouTubeに掲載されている立命館の英語授業の風景をご紹介していきたいとおもいます。


まずは、「英語のシャワーを浴びる 立命館小学校 英語授業」

と題された動画。

最初に出てくるのが、入学わずか2カ月しかたっていない1年生。

外国人教師が数秒ごとに入れ替わるスライドの映像を指さしながら、

児童達の答えを引き出します。

英語をほんのわずかしか学んでいない入学間もない子どもたちが、

驚くような大きな声で「USA!」「USJ!」と、発音していきます。

(英語の授業は1年生からすべて英語)

次に出てくるのが、

文部科学省の作成した"Hi, friends!" でいえばLesson5(What do you like?)の内容。

全国的には5年生の秋ごろ学んでいるであろう内容を

1年生が大きな声で発音していきます。


日本人教師  :I like cake.

ネイティブ教師:I like stake.

日本人教師  :(生徒に向かって)How about you? What food do you like?


その後に続くのが、ネイティブ教師による大きな声のアルファベットの読み上げ。

子どもたちもひとつひとつ元気に復唱していきます。

まさに、英語のシャワーを浴び続けながら

自分を英語で表現する力を身につけていっているようです。

教師は手拍子などを使いながら、テンポとリズムを重視した音読を心がけています。

これによって、子どもたちは知らず知らずのうちに

英語の語感を体得して、頭と体で英語を覚えていっています。


つづいて、「立命館小学校学校紹介映像」の中の

"真の国際人を育てる教育"の部分です。

ここでも、外国人と日本人の二人の教師によるティームティーチング方式による

英語の授業が映し出されます。授業以外でも、


・留学生から学ぶワールドウィーク
・立命館アジア太平洋大学への訪問
・海外姉妹校の児童との交流
・オックスフォードでの語学研修
・オーストラリアのボーディングスクールへのターム留学

など、様々な課外活動が用意されており

国際交流や異文化理解へ向けての取り組みが

学校全体のカリキュラムの中に組み込まれています。


これらは、日本全国の公立小学校で実践しようとすれば、

膨大な時間と準備、それに当然、莫大な予算が必要となる内容ですから、

即、文部科学省で採用できる教育プランではありません。

しかし、小学校における早期からの英語教育の「先達」として、

公立校とそれを支える行政が真摯に学びとらなければならないことは

たくさんあるのではないでしょうか。


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英語のシャワーを浴びる 立命館小学校 英語授業:
http://www.youtube.com/watch?v=uqc0jsO34R0&feature=youtube_gdata

立命館小学校学校紹介映像:
http://www.youtube.com/watch?v=R6cHm1dmNf8

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2014年3月21日 カテゴリ:小学校英語活動 

誰に対しても物おじしない子どもを育む 【岐阜県可児市の取り組み】

小学校英語(外国語活動)の改革が

文部科学省のリードの元に議論・実施されていますが、

それと同時に、地方自治体ではそれぞれのオリジナル活動が繰り広げられています。


本日は、岐阜県可児市でのとても意欲的な取り組みを

岐阜県新聞のサイトが紹介していますのでレポートさせていただきたいと思います。


岐阜県の可児市では、独自のプログラムで

市内の小学校において全学年に対しての英語授業が行われています。

現在、全国的には5・6年生において

外国語活動が年に35時間行われるのが最も一般的ですが、

この南帷子小学校では、5・6年生のみならず、

3・4年生では年間20時間、1・2年生でも年間10時間の英語の時間が

設けられています。


可児市が掲げるこのような取り組みの目標は、

「能動的にコミュニケーションする意欲を醸成」することによって、

「誰に対しても物おじしない子どもを育む」こととなっています。

この目標のために、まずは英語の初等教育の専門家を招いて

本格的なカリキュラムに基づく授業を展開。

岐阜女子大学非常勤講師の清水万里子さんが中心となっておられます。

清水さんといえば、All About で子ども英語に関するガイドを

長年にわたって務めていらっしゃる方で、

小学校英語に関しては、まさにプロ中のプロ。

このようなベテランの専門家が直接指導に当たってくださっているというのは

学校・教育委員会としても心強いのではないでしょうか。


具体的な授業の進め方としては、

「子どもたちが楽しみながら気軽に英語に触れられるようにと、

春から日常会話52フレーズのかるたを作成」している、

とのこと。

これは、ただのかるたではなく、

実にユニークな言い回しを作り上げている注目すべき内容となっています。

たとえば、


・テストだな 100点目指し I wil study hard.(一生懸命勉強するぞ)

・謝るよ 僕を許して I'm sorry.(ごめんなさい)

・ランチメニュー ご飯と焼きそば I don't know why.(なぜだか分からないよ)


などなど、

日本語の五七調の言葉と英語の表現を実にうまく組み合わせて、

リズミカルに覚えることができるようになっています。

おそらくはチャンツとしても使用されているのではないでしょうか。


このような日常的な授業とは別に、

夏休みには全く異なった内容のイベントも考えられています。

これは、外国人英語講師5人とグループ活動に取り組むサマースクールで、

サイトの記事中の写真を見ると、

インド系のネイティブスピーカーも参加されているようです。

講師の母国の硬貨・写真・地図などを使ったアクティビティーや、

オーストラリアの小学生とインターネットを通じて交流を深めるといった

リアルタイムの試みも行われたようです。

教室内での、ある意味閉鎖的(?)な授業と違って、

実際に数千キロも離れた所に住んでいる同年齢の子どもたちと、

習ったばかりの英語を使ってやり取りすることを経験する、

ということは子どもたちにとって貴重な、

そして記憶に残る体験となることでしょう。


やはり、日本人どおしで授業の中で会話の練習をしても、

どうしても照れが出てしまったりします。

しかし、距離が離れていても英語を駆使することさえできれば、

英語を母国語とする人と容易にコミュニケーションがとれるのだ、

ということを実践できるのはインターネット時代ならでは、

ということができます。

小学校英語に使用されている教材はさまざまなものがありますが、

きちんと教材として制作されたものでなくても、

パソコン1台あれば「生の会話」が出来てしまう時代となっているのです。

これは、使わない手はないのではないでしょうか。


このような地方都市での取り組みは、

英語を教科として、あるいは勉強の対象としてとらえるよりも、

コミュニケーションの手段として扱う

「実践形式の体験型学習」と呼ぶことができます。

このような体験を幼いころから身につけた子どもたちが、

成長したのちにどのような人間として世界で活躍していくのか、

楽しみに待ちたいと思います。

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岐阜県新聞 Web:
http://www.gifu-np.co.jp/tokusyu/nie/ima/201310211.htm
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2014年3月20日 カテゴリ:小学校英語活動 

オランダの英語教育 【その1】

オランダに関する様々なニュースを配信している

「オランダニュース」のサイトで、

ちょっと驚くべきレポートが配信されていましたのでご紹介します。


オランダは、非英語圏の中ではたいへんに英語力の高い国民として知られているのですが、

なんと、小学校で生徒に英語を教えている教師の英語力が

劣っていることが原因で、

早期英語教育の効果が上がっていない、という調査結果があるというのです。


これは、学力テストを行う団体が調査したというのですが、

日本でもこれから数年後に迫っている英語教育の改革を成功に導くためにも

是非ともよく内容を吟味しておいた方がよさそうです。


日本では、現在、5・6年生において小学校英語教育(外国語活動)が

全国の公立小学校で行われていて、

自治体によってはそれよりももっと早い時期から

(最も早い例では小学校1年生から)英語を取り入れているケースも見られます。

オランダは、この日本の現状に酷似しており、

教育省の副大臣が5年生から英語を開始するのではなく、

もっと早めるべきだ、との発言を行ったりしています。

(現在は、日本と同様に義務付けられているのは5年生からの開始)

このような流れの中、注目されるのは開始年齢を早めることによって

どのくらい学力の向上が実際に見られるのか?というデータです。


しかしながら、残念なことに、学力テストを行ったCITOという団体によると、

小学校6年生の英語力は、調査を開始した2006年から

まったく進歩していない、というのです。

これの原因として挙げられているのが、教師の英語力不足です。

小学校教師を目指す学生が学ぶ教師養成講座の中で、

半分以上の59%が英語を習わなかった、というのですから少々驚いてしまいます。


日本においても、英語教育の開始年齢は下げる方向での議論が進んでおり、

いくつかの自治体ではすでに3年生、あるいは1年生から英語の授業を行っていますが、

その開始にはかならずALTや地域における英語教育経験者の確保が

前提となっています。

また、文部科学省が計画している英語教育開始の早期化のためにも、

大学の教員養成課程における英語が必要科目として挙げられています。


オランダで、もしもこのような人員がきちんと確保されないまま

小学校英語の開始年齢早期化が行われてしまったのであれば、

これは時期尚早であったと言わざるを得ないかもしれません。

我が国としては、オランダの実情をよく調査して

自国の改革成功のために役立ててほしいものです。


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オランダニュース:
http://www.portfolio.nl/article/show/5448
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2014年3月19日 カテゴリ:小学校英語活動 
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