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第2回 小学校英語に関する基本調査(教員調査)【その2】

ベネッセ教育総合研究所が2010年に行った

「第2回 小学校英語に関する基本調査(教員調査)」のレポート、

第二回目です。


今日は、解説・提言のその1、上智大学教授吉田研作先生の解説です。

吉田教授は、もうここであらためて申し上げるまでもなく、

日本における子ども英語教育に関する第一人者で、

著作や政府関連の委員などで長く幅広く活躍していらっしゃいます。


吉田教授は、現在(調査当時の2010年)どのように

小学校英語(外国語活動)が行われているのかという

実態を表す調査結果数字の解説から説き起こしていらっしゃいます。

このなかで、第一回調査の2006年に比べて

「中心となる指導者も「外国語指導助手(ALT、AETなど)」から

「学級担任」へと移っていることがわかる)。

この4年間で、学級担任がかなり積極的に

英語活動にかかわるようになってきたことがよくわかる」

と指導主体の変化について解説していらっしゃいます。

これは、2011年の全国的な外国語活動導入の義務化を控えた前年に

調査が行われたため、

それ以前の数年間で小学校の教育現場で

着実にそのための準備が行われたことを裏付けています。


しかしながら、そのような積み重ねを踏まえて

教師たちに今後への考えを聞いてみると、

「「今後小学校英語活動は誰が教えるべきか」という質問に対して、

教務主任、学級担任いずれも、およそ4人に1人が

「学級担任」と答え、およそ4人に3人までが「専科教員」

と答えている」と指摘しています。

つまり、学級担任たちは、国の方針に従って英語の指導を学び、実践してきて

それなりの結果は残したが、

やってみたからこそ、その専門性を、逆に際立って感じることにもなり、

今後は専門家が受け持つべきであると考えるに至った、

ということができるかもしれません。

学級担任がなんらかの形で英語教育にかかわり続けることは、

小学生と言う年齢から考えても今後も変わらないことでしょうが、

指導の中心となった役割を全ての担任教師たちが負えるかどうか、

となると少々厳しいということでしょうか。


また、全国で活躍しているALTの役割と今後については、

「発音について見本を示す」などの役割を果たしていることを評価していますが、

労働者派遣法との兼ね合いで、

「ALTの派遣業者に業務委託している場合」の問題点についても触れています。

これについては、吉田教授は詳細について述べていらっしゃいませんが、

おおよそ以下のような内容です。


ALTの派遣業者に業務委託している場合には、

学校に来て生徒たちに英語を教えるALTは

派遣業者に雇用された人間として、派遣業者の指示のもとで授業を行います。

この際、学校の担任教師が授業内容についてALTに対して指示すると、

派遣法に抵触してしまい法律違反となってしまいます。

つまり、この場合は、派遣業者がALTに指示した内容で授業が行われるのを

担任教師は「見ているだけ」でなければならないのです。

吉田教授が、

「(このような場合は)学級担任とのティーム・ティーチングはできないので、

外国語指導助手の活用方法が難しくなるだろう」

と述べていらっしゃるのはこのためです。

ティーム・ティーチングを担任教師とALTが行おうとすれば、

事前に打ち合わせを行い、担任教師の指導・指示のもとで

ALTは働かなければならなくなります。

これをやってしまうと、法律違反となってしまうのです。


この問題を回避するには、各自治体(教育委員会)が、

直接ALTを「雇用」しなければならず、派遣会社まかせに出来なくなります。

派遣であれば、短期間などの依頼も可能となりますが、

雇用となれば長期間の安定的な関係が必要となり、

当然のことながら雇用費用は派遣依頼に比べて大きな金額となります。

それを自治体が負担できる場合と負担できない場合が

全国的にみると様々に出てくることになるのです。

(つづく)


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ベネッセ教育総合研究所
第2回 小学校英語に関する基本調査(教員調査)
http://berd.benesse.jp/berd/center/open/report/syo_eigo/2010/index.html

解説・提言1 小学校教員の意識の変化
http://berd.benesse.jp/berd/center/open/report/syo_eigo/2010/pdf/data_01.pdf
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2014年3月23日 14:48
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