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第2回 小学校英語に関する基本調査(教員調査)【その3】

ベネッセ教育総合研究所が2010年に行った

「第2回 小学校英語に関する基本調査(教員調査)」のレポート、

第三回目です。

上智大学教授吉田研作先生の解説についての引き続きレポートいたします。


解説の後半部分では、小学校英語(外国語活動)の今後の課題とまとめを

お書きになっていらっしゃいます。

課題としては、

『「外国語(英語)活動に使える予算」「ALTなどの外部協力者との打合せの時間」

「中学校との接続・連携」「教材の開発や準備のための時間」』

という4つが項目として挙げられていますが、

時間に関する二つの項目をまとめれば、

『カネと時間と小中連携』という3つにすることもできるでしょう。

これらのなかで、吉田教授がもっとも重視しているのが小中連携です。


吉田教授の著作や講演内容などでもたびたび紹介されていることですが、

「小学校で学んだことが中学校でどのように活かされるのかということを

しっかり考えないと(今までもみられてきたことではあるが)、

せっかく小学校の英語活動が楽しかったにもかかわらず、

中学校に入ると途端に英語嫌いが増える、という問題」が存在しています。

21世紀に入ってから、文部科学省によって全国的に、

かつ、本格的に計画と実践が行われてきた小学校での英語教育(外国語活動)ですが、

公立小学校においては特別な例をのぞいて

全くと言っていいほど行われてきておらず、

ほぼゼロからのスタートであったために、

小学校のみに焦点が当てられてしまうきらいがあります。

しかし、小学校において「楽しく触れ合い、

成績もつかなかった」英語が、中学に入ると同時に、

「成績を気にしなければならなくなる教科」となるために

児童たちが「幻滅」してしまって短期間のうちに一気に

英語が嫌いになってしまう、という事実がたびたび報告されてきています。


そこで、この2010年の調査においても

小中連携の実態について調査したところ、

「中学校の英語教員と集まる機会がある学校は約3割で、

中学校と連携したカリキュラムを作成している学校は約1割にすぎない」

という実にお寒い状況であり、

「小学校、中学校ともに教員は互いの連携がまだうまくいっていない、

という認識をもっている」ということが浮き彫りになった結果が出てしまっています。

これは、2014年の現在も大筋ではさほどの改善はみられていないというべきで、

古くて新しい大きな課題と言うことができます。


おわりに、吉田教授はまとめとして

学級担任の意識や指導の実態をこの調査から読みとった結果、

「この4年間でかなり「前進した」といえる」と結論付けていらっしゃいます。

また、発音に不慣れな日本人担任教師が英語を教えることに対する不安と批判に対しては、

「実は、日本人である学級担任が英語でコミュニケーションしている姿こそが、

子どもたちにとって自らも英語を学ぶ大きな刺激になっている」と指摘して、

「ネイティブ崇拝論」を退けています。

子どもたちにとっては、ALTの生の発音に触れることは意義があることではあるが、

最終的には日本人みずからがコミュニケーションをする姿にこそ

子どもたちは関心と興味を抱くのだ、という素晴らしい結びでこの解説は終えられています。


熟読すべき素晴らしい内容の解説です。吉田教授に感謝をささげたいと思います。

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ベネッセ教育総合研究所
第2回 小学校英語に関する基本調査(教員調査)
http://berd.benesse.jp/berd/center/open/report/syo_eigo/2010/index.html

解説・提言1 小学校教員の意識の変化
http://berd.benesse.jp/berd/center/open/report/syo_eigo/2010/pdf/data_01.pdf
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2014年3月23日 14:52
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